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2013年06月20日 訪問看護
腰痛について考え続ける

18日のニュースで、厚生労働省が「腰痛予防対策指針」を改定したとありました。

特に近年急増している介護現場での腰痛を予防することが大きく挙げられています。

入浴や車いす、ベッドへの移動にも介助リフトなどの福祉機器を使用することや、2人以上での作業を求めているとのことでした。

 

 

腰痛に関しては、昨年末に日本整形外科学会と日本腰痛学会が、腰痛診療ガイドラインを公表しました。

そこでは、原因の特定できない腰痛が、腰痛の85%を占めるということが明らかにされていました。

 

 

 

しかし、介護現場で生じている腰痛の原因は、人を抱えるという動作が腰に負担、もっと詳しくいうと腰の周囲にある筋肉への負担が主な原因だと思います。

私自身も病院で、自分よりもかなり体重があると思える患者さんをベッドから車いすへと移乗することが毎日続くと、腰痛を生じることがありました。

それでもその患者さんが、転院すると、その腰痛もすぐに治りました。

それからわかるのは、腰部周囲の筋肉への負担が続くと、痛みが症状となってあらわれてくることがあるということです。

ですから、そういう状態が毎日続く状態にある人には、当然腰痛が生じるのだと思います。

 

 

でわ、このような腰痛は避けられないのか?ということですが、なかなか難しいと個人的には思います。

ですから、厚生労働省が「腰痛予防対策指針」に示したように、介助リフトなどを使用するか、2人介助で負担を減らすかの方法を取る必要があると思います。

ただ、少しでも腰周囲の筋肉の負担を減らす方法を考えてみたいと思います。

 

 

 

筋肉が使うということは、基本的には関節を動かすあるいはある状態で固定するためです。

ある筋肉を使い過ぎて、痛みが出るまでになるのですから、その筋肉ができるだけ働かなくてもいい状態というものを作っていけばいいのです。

 

ここで、この映像を見てみましょう。

 

”ウェイトリフティング”、”重量挙げ”というもので、重い重いおもりを持ち挙げるわけですが、この持ち挙げている時の腰の状態をよーく注意して見てみて下さい。いえ、腰というより、首から腰までの背骨(脊柱、脊椎とは書かずにあえてこの言葉を使います)のラインです。とても綺麗ですね。特に腰のあたりなどは、本当に美しく湾曲しています。

 

 

この状態、私たちが姿勢よく立っている時の背骨の状態です。

つまり腰を含めて、背骨の関節は大きく動いているわけでもなく、ある状態で固定されているわけでもなく、ごくごく自然な、余計な力が働いていない状態なのです。

 

 

重いものを持ち挙げる時、私たちは前かがみになってつかみ、その状態から後ろに反って持ち挙げようとしてしまいます。しかしこれでは、背骨の関節は大きく動いたり、そういった前かがみの状態で固定するために筋肉を強く使うことになります。そしてこれが何度も続くと、その部位(腰)の筋肉を激しく使用することになり、結果として痛み、つまり腰痛となってしまうのです。

 

 

ですから、腰痛をできる限り起こさないようにするには、前かがみの姿勢から反るという動作で重いもの(人の場合も同様)を持ち挙げることは避ける。そのために、「対象との適切な距離・高さを考える」、「しゃがむ動作を面倒くさがらない(実はこれが意外に大事だと個人的には思っています)」、「股関節の柔軟性や筋力をつける」などの対策が必要になってくるのではないでしょうか。

 

 

腰痛に関しては、訪問看護や訪問リハビリをしていて、しばしば遭遇する症状であるにもかかわらず、複雑な要因を抱えているので、これからも考えていきたいと思います。

 

 

腰痛は本当にやっかいなものですから、一人では無理だと判断した時には無理せず、誰か援助求め、チームで対処するのが重要だと思います。

 

 

 

 

 


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